量子ビームによるPDMSの改質と新たな接合技術

量子ビームとは、電子、中性子、陽子、光子などの量子性をもつ粒子や波の集団が同じ方向になすビーム状の流れです。ビームの持つ高いエネルギーにより高分子で構成される硬化後のPDMSは高分子同士の橋かけ点(架橋点)が増加し、より強靭な高分子架橋構造となり、硬度、耐熱性、耐久性、耐薬品・溶剤性が向上します。

電子ビーム橋かけ技術

  • 熱安定性向上
  • 形状安定性向上
  • 基材の特性維持
  • 毒性のある薬不要
  • 加工と同時に滅菌

フコク物産は 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構との共同研究の結果、高エネルギーを有する量子ビームを用いてPDMS製マイクロ流路を一括積層接合する技術を開発し、実用化しました。
平面構造のマイクロ流路を積層する事で、薬液の処理能力を大きく引き上げたり、異なる機能を持つマイクロ流路を同時に機能させたりする事が可能ですが、一枚一枚貼り合わせるには多大な工数が必要となり、実用化検討が滞っていました。
量子ビームは積層したマイクロ流路全体に作用するエネルギーを有し、更にPDMS製マイクロ流路は量子ビームによるエネルギーで各層間の糊なし接合が可能なので、十分な位置合わせ後にすべての流路を同時に貼り合わせができ、高い量産性が得られます。

様々な分析機能を持つマイク流路チップ(デバイスを組み合わせることが可能)

  • 十分な位置合わせ後にすべて同時貼り合わせ
  • 大量生産可能

本技術は、特願2019-056376「接合体とその接合方法及びマイクロ流体デバイスとその製造方法」にて公開されています。