ゴム業界用語解説
工業用ゴムに関する様々な用語について解説します。調べたい用語の頭文字の項目をご参照ください。
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A-Z
トップページ- ICタグ
- ICチップ(半導体集積回路=Integrated Circuits)に情報を記録し、小型アンテナをつけて無線での情報のやり取り可能な荷札(タグ)のこと。電子タグ、RFID(Radio frequency Identification=無線認証)ともいう。常時屋外使用の場合、そこに防水が求められることがある。その際の封止材としては耐熱・耐寒・耐オゾン性が必要となる為、シリコーンゴムが適している。また取り付けたい相手側の材質が金属の場合、アンテナ特性を踏まえた素材の選定が必要になるが、この場合もシリコーンゴムが適している場合が多い。
- LIM
- Liquid Injection Moldingの略。シリコーンゴムの場合、液状の材料を使用(2液タイプ)し混合から成形までを全て自動化出来る。 優位点 (1)工程の短縮化(2)生産性を向上(3)成形の自動化(4)環境への負荷が少ない(ノーバリ・ノーロス工法を採用した場合)
- PDMS
- ポリジメチルシロキサンの略。光学的な特性を持つ高透明なシリコーンを指す場合が多い。
ア-カ行
トップページ- 圧縮永久歪み
- ゴム材料の加熱圧縮による永久歪みのこと。この値が小さい程、長時間圧縮した時に復元する力が高いことをあらわしている。また、値が小さい程シール性が高いといえる。JIS K 6262の規格に準拠された試験により評価することが出来る。
- インサート成形
- 別に成形した一次側(樹脂・金属)を二次側の金型に挿入し、一次側の成形品の周りに二次側の材料を注入して一体化する成形方法。一次側製品を二次側金型に挿入するという工程があり、ここをいかに効率よく行うかがこの工法のポイントである。また、ゴムと樹脂の場合、ゴムの流れ止めを樹脂側につくる必要があり、ゴムの流動特性を踏まえた設計打合せを十分に行わなければならない。また、ゴムの流れ止めの押圧が高く、反対側のキャビ面に跡がつきやすい為、外観部品に採用するのは難しい面がある。
- インジェクション成形(ゴム)
- シリンダーの中で予熱された材料を、加硫温度に設定された金型内へ高速充填し、短時間で製品を成形する方法。シリンダーの中での予熱に、サイクルを短縮させる効果がある。
- オイルブリード
- 時間の経過と共に表面からオイル成分が滲み出ること。相溶性の無いオイルをゴム材料に練りこむことによって製品表面にオイルが少しずつ滲み出てくるのが特徴である。自動車用の防水コネクターのシール材料に多く使われており、コネクターの挿抜力や端子の挿入力低減効果があり、長期的且つ安定的に効果を発揮する特徴がある。
- 応力解析(ゴム)
- 各種形状のゴム成形品に対して最適製品設計の為、それぞれの荷重負荷条件による変形および応力の発生状態を解析すること。防水ゴムの限られたスペースの中での形状を設計する際に必要な技術。
- 温度依存性(ゴム)
- 温度の変化により硬度等、ゴムの物性が変化する度合いのこと。シリコーンゴムは温度依存性が低く、-40℃~180℃までの広い範囲で硬化の変化や劣化が少ないという特長がある。
- 架橋
- 隣同士の鎖状分子を結びつけること。分子同士に橋をかけるという意味。ゴムの架橋には、鎖状高分子が共有結合した化学架橋と分子鎖の絡み合いによる架橋、および結晶化による物理架橋がある。
- 画像処理検査
- カメラによる画像診断を利用した検査。この方法により大量生産部品の完全自動全数検査が可能になる。
- キャピラリ
- 化学や物理学の実験に使用される毛のように細い中空の管の事で、毛細管・毛管とも呼ばれている。
(当社ではPDMSを用いてキャピラリ構造を持つ製品をご提供致します)
- 喰いきりバリ
- ゴムバリの後処理(仕上げ)を簡単にする為、製品部から繋がっているバリの一部(製品から0.1mm前後離れた部位)を厚くし、予定した以上にちぎれない設計をすることで、バリ残り長さを安定させる方法。手仕上げを簡単にする工法である。
- コールドランナー
- 熱可塑性樹脂のホットランナーと同等。シリコーンゴムは熱反応性ポリマーの為、ノーロス成形を実現するには、スプールランナーからゲートまでをクーリングし架橋反応を抑制させるコールドランナーシステムが必要になる。
- コンプレッション成形(ゴム)
- 開いた金型の間に、配合し一定の形状に成形したゴム材料を入れ、金型を閉め加圧しながら加硫して成形する方法。最も一般的なゴムの成形方法。
サ行
トップページ- 自家蛍光
- 蛍光を発する物質が入っているもの(細胞も緑の自家蛍光を発し、ガラスは様々な蛍光を発する)が自家蛍光を発すると言われる。ほぼ全ての物質がこの性質を持っており可視域で蛍光を強く発するものが、自家蛍光があると言われている。レーザー光線を利用した判定や計測を行う場合は自家蛍光性の少ない素材が求められ、その際にはガラスや透明PDMSが多く用いられている。
- シール性(ゴム)
- 使用部位での液体や気体の漏れを防止するゴムの性質のこと。
- 摺動コーティング
- 摩擦・磨耗を低減させる目的で表面に薄膜を付与すること。浴槽へのディッピングや吹きつけによる塗布方法が一般的である。他に蒸着による方法がある。
- 摺動性
- 可動部の滑りやすさや摩擦の少なさのこと。摩擦・磨耗に関する性質を示す。可動部や挿抜が行われるような部位は、摩擦による磨耗が発生しやすい。そこにシール性が求められる場合には致命的となってしまう。その対策としてその部位の素材に滑りやすさ(摺動性)が求められる。コーティングやオイルの練りこみ、自己摺動性のある材料を使うことで対策としているケースが多い。
- 選択接着材料
- 熱可塑性樹脂に接着する一方で金型には接着せず、限定された樹脂への接着性の発現が短時間である材料。(プライマーレスでのインサート成形や二色成形時に必要な役割を果たす)現在シリコーンゴムの選択接着材料としては、PBT・PC・PA用がある。 またアルミにも接着可能な材料がある。
- 相溶性
- 2種類または多種類の物質が相互に親和性を有し溶液または混和物を形成する性質をいう。それとは逆の性質に非相溶性がある。ゴムのオイルブリードは、ゴムとオイルの非相溶性の特徴を利用した材料である。
タ-ナ行
トップページ- 耐熱性ゴム
- 高温での使用環境において、物性が損なわれず安定性のあるゴム。短時間使用での耐熱限界温度と連続使用での安全耐熱温度の高いゴム。シリコーンゴムとフッ素ゴムは安全耐熱温度180℃~200℃レベルの耐熱性ゴムの代表格。
- 耐磨耗性(ゴム)
- 繰り返しの接触運動による磨耗に耐えうるゴムの性質のこと。液状シリコーンの中には自己摺動性が付与された材料があり、オイルブリードが嫌われるような場所のシール材料として使われている。
- ダウンサイジング
- 物事のサイズを小型化・軽量化すること。
- 脱型
- 金型から金型内で成形されたものを抜くこと。樹脂の場合離型というが、ゴムはアンダーカットを無理抜きすることが多い為、脱型という。
- 端子汚染
- 電気接点である端子にゴミ、埃、油、水等による異物付着や部品の残留成分の飛散等により端子表面が汚染すること。
- 低分子シロキサン
- 環状シロキサンのことでシリコーンゴムの主成分である。この低分子シロキサンは揮発性で絶縁性があり、金属に付着する特徴がある為、シリコーンゴムの素材での対策や二次加硫による除去が不十分であるとまれに電気接点障害を引き起こすことがある。
- 導通・接点不良
- 電気回路の電気の入力・出力部位である端子にゴミ、埃、ガス、油、水等の異物付着や部品の残留成分等が付着し接触抵抗が大きくなり、電気が通らなくなる現象。ゴムの場合、シリコーンゴムの低分子シロキサンが原因でまれに導通不良を起こすことがある。
- トランスファー成形
- 配合後、一定の形状に成形したゴム材料を注入式金型のシリンダー中に置き、プレスの圧力によりこれを注入孔から密閉した型のキャビティ中に圧入する。形状の複雑なものや金属との加硫接着製品などに効果的な成形方法。
- 二次加硫
- 通常の加硫成形工程の後、物性の安定化あるいは成形品に残存している加硫剤の分解生成物や低分子シロキサンの除去などを目的として行う工程。
- 二色成形
- 一つの金型の中で、異材質同士を組み合わせて一体に成形すること。
一次側となる部分を成形してから金型を反転させるなどして、同一金型内で二次側となる部分を一次側と一体になるよう成形する工法。ゴムと樹脂で二色成形を行う場合、ゴムの反応温度と樹脂の固化温度に相性の悪さがあり、さらに成形サイクルの違いが大きい為、バランスをとるのが難しい。また、1回のサイクルで完成品に出来てしまう効率の良さはあるが、取り数に制約があるなど設計的に熟考が必要である。
ハ-マ行
トップページ- バリ
- 成形用金型のキャビティ部において、その組み合わせ部の隙間から溶融した成形材料が流出し、その部分がそのまま成形品に固化付着したもの。
ゴムの場合は、ガス抜きやキャビティへの充填量安定を踏まえ、はじめからバリを出すように設計することを基本としている。
- 複合成形
- ニ色成形やインサート成形など、異材質の部品を一体化する成形方法の総称。
- プライマー
- 二色成形やインサート成形を行う際、相手部品とゴムの接着強度を高める為に必要な前処理のこと。下地にディッピングや塗装によって塗布することが多い。
- ブリードアウト
- 製品の表面にその主成分であるポリマーとは異質の構成物質が滲み出てくる現象。着色材、可塑剤、滑剤などが表面に吹き出したりした場合に使う。
- マイクロ流路
- 超微細加工(幅・高さが数10ミクロン)により、溝形状の流路が形成されたもの。その溝の中に毛細管現象を利用する等して培養液を流し込み、その流路内の物質の判定や計測を行う。一般的に流路内の物質の判定や計測にはレーザー光線が使用される為、流路、フタ共に自家蛍光性の少ない素材が求められる。主な流路の材料としてガラスやPDMSが用いられている。
- ミラブル
- 一般的にロール練り可能なポリマー材料のこと。これに対しLIMに使用する材料は液状となる。
ヤ-ラ行
トップページ- 流動解析(ゴム)
- 成形機から金型内に射出されたゴム材料の充填挙動を解析すること。
流動パターン・型内圧力分布・型内温度分布等の予測を可能にし、ノーバリ、ノーロス等の高品質成形に必要な技術。